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コーヒーの苦味について考える


わたしたちはコーヒーの苦味を特に重視しています。苦味と言っても、すべて同じというわけではありません。苦味には質の違いがあります。口にしたときに好印象をもつ「苦味」もあれば、逆に不快感をもつ「苦味」もあるのです。ここではコーヒーの苦味についてお話したいと思います。

苦味に特徴をもつ銘柄は、インドネシア産のものです。インドネシアのスマトラ島で産出される銘柄は、「マンデリン」系と称され、昔から日本に多く輸入されています。ただ、インドネシア産コーヒーの生産状況は、あまり恵まれたものではありません。

その理由は、100年ほど前にコーヒーの大敵である「さび病」が蔓延したことにあります。この影響で、多くのコーヒーの樹が枯れてしまいました。その後、そのほとんどは大量生産が可能な品種のコーヒーの樹に植え替えられたのです。このことが原因で、優れた「苦味」をもつインドネシア産の銘柄は、今現在きわめて少量になっています。

インドネシアのコーヒーの樹と実。写真のように、まだ青いコーヒーの実は赤い実へと変化していきます。

また、コーヒーの生産技術も中南米のそれと比べると遅れています。たとえば、農園に足を運ぶと、多くのコーヒー農園のコーヒーの樹が等間隔ではなく、どちらかと言うとでたらめに植えられているのがわかります。コーヒーの樹が等間隔で植えられていないと、その樹に実っているコーヒーの実に均等に栄養分が行き渡りません。こうした小さなことが、コーヒーの品質を落とす原因となります。

ただ、少数ではありますが、インドネシア国内において「自分たちが自信をもって送り出せる銘柄を作り出したい」という考えをもつ生産者もいます。そうした生産者が作る銘柄は、大量生産を目的として作られたものとは別物です。「苦味」の質が、根本的に異なるのです。

インドネシアにて、生産されたコーヒーを吟味する焙煎士 土居博司。

当社の焙煎士である土居博司は、40年以上コーヒーにたずさわる者として、インドネシア産の銘柄には強い思い入れをもっています。直接この地に足を運ぶとき、品質の高い銘柄を作り出そうと努力している生産者に出会うと、自身の過去のいろいろな出来事も思い出し戦友のような思いをもつそうです。

品質の高いインドネシア産の銘柄から楽しめる味わいは「クリーミーで濃厚、コクのある質の高い苦味」です。その味わいは、この地の生産者の努力の結晶の味です。