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コーヒーの評価について考える。

毎月、産地国より数多くの銘柄が、土居珈琲に届きます。それぞれの銘柄を焙煎し、味を鑑定し、お客さまに楽しんでいただくにふさわしい銘柄かどうかを判断していきます。

届いた銘柄のなかには、欧米のコーヒー鑑定士の評価がついているものもあります。鋭敏な味覚をもつ彼らの評価は、高く信用できるものです。ただ、わたしどもは彼らが鑑定した評価を、絶対視しているわけではありません。彼らの評価はもちろん参考とはしますが、あくまでも、重視するのは自分たちの評価です。

なぜなら、その銘柄を鑑定するうえにおいて重視する基準が、わたしどもと彼らとでは違っていると考えているからです。

コーヒー鑑定士。彼らは鋭敏な味覚を有しており、銘柄を鑑定する数日前は、刺激の高い食材を口にしないなど、食事制限も設けています。

コーヒーは欧米から生まれた食文化です。ですから、銘柄の品評会などでは、欧米のコーヒー鑑定士の評価が重視されます。

コーヒーの鑑定は、単に美味しいか美味しくないかということだけで、評価を位置づけるのではありません。鑑定は、“カッピングフォーム”と呼ばれる診断書を使っておこなわれていきます。この“カッピングフォーム”には、たくさんの項目があるのですが、そのひとつに「Acidity=酸味」があります。

銘柄の味わいを鑑定するために使用する“カッピングフォーム”。「Flavor=香り」、「Acidity=酸味」といった項目にくわえ、「Sweetness=甘味」がある。

欧米のコーヒー鑑定士は、この「Acidity=酸味」を重視する傾向があります。ワインやチーズを例に、彼らの食文化は食材を評価するとき、「酸味」の質を軸としているからです。コーヒーにおいても同様です。

これと異なり、日本の食文化において重視される味わいは、食材のもつ自然な「甘味」です。このことから、わたしどもが、その銘柄を評価するうえにおいて、まず重視するのはその銘柄が、ビターチョコレートを感じさせるような、自然な「甘味」を有しているかどうかです。

銘柄を鑑定する土居博司。お客さまにお届けする銘柄は、鑑定した銘柄の中でも、吟味した一握りのものだけです。

焙煎士の土居博司は創業当初から、自然な甘味を有する銘柄を追い求めていました。しかし、そうした銘柄を見つけることは、今と比べて昔はもっとむずかしかったと言います。

一昔前まで、コーヒー農園のオーナーに、「おまえが求める味わいは、どのようなものか?」と聞かれた時、「甘味を有する銘柄だ」と答えても、話が通じなかったからです。当時は、まだコーヒーは大量生産を前提に考えられていたので、彼らにしても「酸味」や「苦味」のことを言われることがあっても、「甘味」について言われることは、ほとんどありませんでした。

しかし、時代も変わり、品質に特化した銘柄を作り出そうという動きが生まれました。コーヒーの銘柄を評価する際に使用する“カッピングフォーム”にも、「Sweetness=甘味」の項目が加えられるようになりました。現地では、どういう生産方法をとれば、その銘柄の「甘味」が、より表現されるようになるか、毎年研究が進められるようになり、新たな取り組みに挑戦する農園も出てきました。

コーヒーの味わいにおいて、ほんとうに求めるのであれば、あきらめず長い時間をかけて求め続けていれば、願いはかなうものなのかもしれません。