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土居珈琲ライブラリー > > 「土の中に答えがある」と、わたしは思ったのです。(ブラジル バウ農園オーナー/フクダトミオ氏 談)

ブラジル バウ農園オーナー フクダトミオ氏に土居陽介がインタビュー。現場における、生のお話をお聞きしました。

フクダトミオ氏経歴
ブラジル日系2世。1984年からバウ農園を運営。品質を重視した農園管理、工場管理に取り組んでいる。氏の持論は、「ユーザーの求めるコーヒー作り」に尽力すること。スペシャルティーコーヒーに対して高い知識を有し、ブラジル国内のコーヒー農園の中でも、バウ農園の知名度は高い。


-コーヒー農園を運営されているなかで大切にしていることはなんですか?

日本の企業が昔から大切にしている、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の概念をもって、コーヒー農園を運営することです。これは、多くの人と力を合わせて仕事をするコーヒー農園の仕事において、とても大切なことです。

日本企業のものづくりの現場では、昔からこの考えを大切にしていました。結果、日本の製品は品質が高かった。ですから、わたしも農園内で使用するトラクターなどの機械は、すべて日本製を採用していました。少々価格が高くても、長く使えたからです。しかし、最近このことに変化が生じてきているように思います。日本製の機械であってもよく壊れるのです。わたしの周りでも、韓国製のトラクターを採用する農園が増えました。

-コーヒー農園を運営してきたなかで失敗談があれば、教えてください。

当初、コーヒーを作ることの目的を、はきちがえていたことです。コーヒー農園をはじめたころは、とにかく自分の力を見せつけたかった。どのコーヒー農園よりも品質の高いコーヒーを育ててやる。自分にはそうした力があると考え、自分の持っている知識をたたきつけながらコーヒーの樹を育てていました。努力も人一倍していましたから。しかし、やっているうちに、これは違うということがわかってきたのです。

-どういうことでしょう?

コーヒーを飲む人は、わたしの腕自慢を見せつけられたいわけではないということです。コーヒーを飲む人は何を求めているか?それは、おいしいコーヒーが飲みたいということです。では、おいしいコーヒーというのは、どうやって出来上がるのかと言えば、「自然の力」が作り出すのです。人間ひとりの力なんて、たかがしれています。

-「自然の力」とは、どういうことでしょうか?

コーヒーの木を、苗木から実が収穫できるまで育てあげるというのは、なかなかむずかしい。コーヒーの樹は自然の変化に特に弱い。葉の選定や肥料などにおいても、考えなければならない。育てるのには手間が多くかかります。先般は品種改良が進み、自然の変化に強い樹もできてきました。しかし、そうした樹から出来上がるコーヒーは、やはり品質に難があります。

そうしたなか、まずコーヒーの樹の根の状況が良くなければ、コーヒーの実の先まで健康になれない。ですから、コーヒーの木の品質を高めるためには、根からよくする方が良いと言う答えにいたりました。

-根から良くするとは、具体的にどういうことでしょうか?

バウ農園のあるセラード地区は、非常に雨が少ないのです。当初はコーヒーの樹に過剰に、水を与えていました。しかしあるときから、コーヒーの樹に意図的に水を少量しか与えないようにしたのです。コーヒーの樹の生命力を信用したわけです。そうすると、樹の根は水分を求めて深く伸びていきました。結果として、地中の栄養分をよく吸収し芳醇なコーヒーの実を実らせるようになったのです。甘味があって、ボディが太いコーヒーができあがるようになりました。

土居珈琲 珈琲工房にて、焙煎の現場を視察するフクダトミオ氏。(右:土居陽介)

-焙煎も共通することがあると思います。焙煎は技術ですので、どうしても「自分の腕前をみせつけたい」という“我”が出てきます。この“我”が強ければ強いほど、焙煎はうまくいきません。そうではなく、そのコーヒー豆がもっている持ち味を信用し、活かそうというのが土居珈琲の考えです。目の前のコーヒー豆に「寄り添う」という考え方です。

前者の考えになってしまうのは、飲む人のことを考えているのではなく、自分の腕前、技術を見せつけることに重点がいっているからでしょうね。

-耳が痛いです。

ものを作っている人間は、かならずそこを通る気がします。わたしもそうでした。わたしは日系で、コーヒー農園をはじめた当初は、農園の名をあげるということを考えてやっていました。しかし、そうした考えでコーヒーを作っているとき、わたしは楽しくなかったのです。

地平線までコーヒーの樹の景色が広がるバウ農園風景。

-今はコーヒー農園の仕事が楽しい?

朝おきると、今日も太陽が上がっている。耳をすませば、野鳥の声が聞こえてくる。そうした自然のひとつひとつの事柄に感謝しながら、仕事ができるようになってからですね、コーヒーの樹を育てることが、とても楽しくなったのは。

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