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土居珈琲ライブラリー > > あらためて"続ける"ことのむずかしさを感じました。

今回、コーヒーを楽しむ旅として、長崎の軍艦島を訪れました。

1810年ごろ、軍艦島で石炭が発見。島内で採れた石炭は、とても良質であったため石炭を採るために当時多くの方が島内に移住。島内は、病院や学校・寺院・神社・派出所や映画館・理髪店などが立ち並び、完全な都市として機能していたそうです。


繁栄を極めた軍艦島でしたが、主要エネルギーが、石炭から石油へと移ることにより衰退していくことになります。1974年、ついに閉山、この年全ての住民が島から離れ、軍艦島は無人島となりました。


はじめて軍艦島を訪れましたが、そこにある建物は時間の経過によって廃墟となり、現在は朽ち果てた姿を見せていました。

この景色を見ながら、わたしの頭に思い浮かんだのは、消滅したコーヒー農園の姿です。世界中にコーヒー農園は数多くあれど10年以上の期間、高い品質レベルのコーヒーを作り続けることができるコーヒー農園というのは、それほど数多くはありません。

中にはなくなってしまったというコーヒー農園もあります。その理由はさまざまです。コーヒーは自然がつくりだすものですから、病害虫や天候不順のため、コーヒーの樹が全滅するということもあります。また、コーヒー農園のオーナー自身の情熱が枯れてしまったということもあります。

そもそも、コーヒー豆は自然が作り出すものです。その年の気候の違いや土壌、降雨条件など様々な要因によって、出来不出来が生じます。大量生産品として作られるコーヒー豆は別ですが、品質の高い銘柄づくりに挑戦したとき、高いレベルの銘柄を作り続けることは言葉でいうほどカンタンなことではありません。

また、そうしたコーヒー豆と向き合いながら焙煎し、作り出す味わいを極めて続けていくということも、やはり困難があります。

『長く続ける』ということは、当たり前のことですが、やはりとてもむずかしい。


しかし、たとえいま、それが失われたとしても、当時そこにいた人々が情熱をかたむけて仕事をしていたことは、動かしがたい事実です。現場で情熱をかたむけて働く人間の姿からは、なんともいえない“美しさ”を感じるもの。軍艦島の建物も、廃墟でありながらも、なんともいえない“美しさ”を感じるのは当時そこで働いていた人々の息遣いを感じたからかもしれません。


軍艦島の景色を見ながら飲むコーヒーは、人の情熱が作り出すものの“美しさ”と、儚さを、あらためて教えてくれるものでした。