• 定期宅配
  • 今月の『土居博司セレクション』
  • 最新銘柄
  • ランキング
  • 銘柄一覧
  • 土居珈琲ライブラリー

    土居珈琲ライブラリー

  • 珈琲工房の現場から
  • 旅の中の珈琲
  • コーヒー農園通信

土居珈琲ライブラリー > > 旅の中のコーヒー(香港編)

今回の旅の目的地は、香港に決めました。

その理由は、産地国におけるコーヒーの買い付けの変化にあります。従来まで、アメリカ、ヨーロッパの大手コーヒー会社が、産地国から大量のコーヒー豆を買い付けていくことが常でした。

しかし、先般はこれら国々に加えて、中国のコーヒー会社が、大量のコーヒー豆を産地国より買い付けるようになりました。

彼らの買い付けるコーヒーの量の多さにはいつも、驚かされます。通常仕入れというものは前年に買い付けた量を基準に買い付けるものです。しかし、彼らは、買えるだけ買うという姿勢でコーヒー豆を買い付けていきます。

強い経済力を背景に産地国より大量のコーヒー豆を買い付けていく国のコーヒーは、現地の人々にどのように楽しまれているのか、どうしても自分の目で確かめてみたくなったのです。

香港の街中は、多くの人の喧騒で溢れかえっていました。

中国のなかで訪れた都市は、世界でも最先端の街となった香港。街のなかで数多くのカフェを見つけることができました。わたしがいろいろな国に行って楽しみにしているのは、コーヒーがその国独自の文化に染まり、様々に形を変えて、人々の生活に溶け込んでいっていることを目にすることです。

香港カフェの一コマ。その内装やコーヒーのメニューは、欧米のそれとほぼ変わりがないものでした。

香港においても、この国ならではの「形」をしたコーヒーを味わえることを期待していました。しかし、産地国より大量にコーヒーを買い付けるだけあって、そこで目にしたカフェの多くは、アメリカの現在の最先端のカフェの形を多く取り入れたものでした。それはそれですごいことなのですが、個人的にはすこしさびしい。

「その土地ならでは」を目にするのではなく、「どこに行っても同じ」というのでは、旅の醍醐味を失ってしまうからです。


そうした気持ちを持ちながら、香港の老舗の飲茶料理店を訪れました。メニューひとつひとつの味は、とてもすばらしいものでした。その飲茶料理を食した後、コーヒーがメニューにあったので、食後に注文をしました。そのコーヒーは、残念ながら、あまり丁寧にたてられたものではありませんでした。

まったく期待せずにそのコーヒーを口にしたとき、驚きました。飲茶料理を食した後、香港の雄大な街の風景を見ながら楽しむそのコーヒーの味わいは、それはそれで感慨深いものを感じたからです。

「その国でしか楽しめないコーヒーの味がある」。香港のコーヒーは、わたしにそのことを教えてくれているようでした。