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わたしたちが40年以上、守りつづけたこと

先日、当社の会長である土居博司が逝去したことを、お客さまにお知らせしました。その翌日、多くのお客さまより、お花やお悔やみの手紙をいただきました。

そのようなことをしていただけるとは、夢にも思っていなかったので、たいへんおどろきました。父が作ってきたコーヒーは、これほど多くの方から愛されていたのだと思うと、同じ焙煎をするものとしては、少し嫉妬をおぼえるほどでした。

お客さまからの手紙を拝読していると、お客さまはコーヒーの味を満足いただけているだけではなく、父の作るコーヒーを信用していただいていたんだということが、よくわかりました。そんな時、ふと、父がコーヒーの買い付けをとおして、いつも言っていたことを思いだしました。

それは、「仕入先の人を、大切にしろ」というものです。

コーヒーを買い付ける方法は、さまざまあります。現地農園から直接、買い付ける、現地の輸出業者から買い付ける、日本の商社から買い付けるなどです。こうしたことから、取引する相手は、日本人ではなく、外国の方ということもあります。外国の方との取引は、日本人のそれとは、勝手がちがうことも多々あります。

取引において、想定外のことがたびたびおこるのです。たとえば、送られてきた銘柄をテイスティングする。その後、正式オーダーをかける。日本に届いた生豆の麻袋をあけてびっくり、テイスティングしたときの生豆とは、まったく別物の生豆が届くということがあったりします。

また、港に到着したコンテナをあけたら、そこには生豆ではなく、大量のゴミがはいっていたという笑い話のようなこともあったりします。

そのような事情もあって、父はコーヒーの買い付けに関しては、信用している人たちからしか買い付けをしませんでした。

ただ、それをしたのは、上記の様な取引上の問題をさけるということだけではありません。「自分を信用してコーヒーをご購入いただく方には、自分が信用している人から買い付けたコーヒーしかお送りしたくない」というのが、いちばんの理由でした。

コーヒーも長く取引をしていると、ときに、とても安い価格を提示されることがあります。当然、なにか理由があって、安い価格になっています。彼は過去、こうした生豆には、まったく興味をしめしませんでした。そうした生豆を持ってくる人とは、たいていの場合信用関係がなかったからです。「価格や商品だけをみての取引はするな」と、いつもわたしに釘をさしていました。

土居珈琲の40年以上の歩みのなか、上記のことは、守りつづけられてきました。土居珈琲に届いた、土居博司を信用いただいたお客さまからの手紙を見て、コーヒー豆の買い付けにおける父の教えを、これからも守りつづけていこうと、決意を固めたしだいです。