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土居陽介の『お客さまに会いに行きました』

コーヒーをお客さまが楽しむ時間、そして共に過ごす毎日。
そこには、そのお客さまだけの「物語」があります。

医学博士である車田さま。コーヒーから専門分野にいたるまで、幅広いお話をお聞かせいただきました
医学博士である車田さま。コーヒーから専門分野にいたるまで、幅広いお話をお聞かせいただきました
第十九回
車田 正男さま(新潟県新潟市)

今回も、素敵なお客さまにお話をお聞きしてまいりました。
車田 正男さま。新潟で臨床のお仕事に就かれています。

ここはちゃんとしたとこだなと思って。

車田さまには、ほんとうに長くご愛顧いただいております。はじめてご注文いただいた“きっかけ”は、何だったのでしょうか?

最初、いろんなところから取り寄せたんですよ。今は、臨床をしていますが、もともとは学者をしていて研究室にずっといた。それで、何でも比べたり、データを取ったりする癖がついていまして。

あるとき、東京の有楽町で学会があったとき、途中でサボって新橋で仲間と昼酒を飲んでいたんです。それから、みんなと別れて歩いていたら、とっても寒かった。温まろうと思ってまわりをみたら、やたら高そうな店があった。一番高いコーヒーが、1,800円だったんですよ。

東京ならではですね。

ブルーマウンテンだったんですが、とてもおいしかった。それがきっかけで、自分でコーヒーをたてようと考えた。そこで、いろんなところからコーヒーを取り寄せました。ただ、あんまり心を揺さぶられなかった。

たまたま、土居さんをインターネットで見つけて頼んだら、それがすごくおいしかった。大抵は1回か2回でやめちゃうんですけどね。

そうだと思います。

何回か取り寄せているうちに、ここはちゃんとしたところだなと思った。それからずっと続いている。今も、ときどきどこかのコーヒーを取ることがあるのですが、やっぱり駄目ですね。

おいしい焙煎をしてくれるところを探すほうがいい。

そばも、ご自身で打たれるとお聞きしました。凝り性なのでしょうか?

そうですね。最初は、コーヒーも自分で焙煎しようと考えたくらいです。

家内は、僕が何かをはじめだすと、戦々恐々としている。焼き物もやっていたことがあるのですが、やり出すと窯をつくるまで行かないと駄目なんです。

すごいですね。

だから、焙煎をやるのはやめました。終わりがなくなる。おいしい焙煎をしてくれるところを探すほうがいい。今のとこ、土居さんのコーヒーが好みに合っている。

よくコーヒーは召し上がるのですか?

僕は朝が早い。3時か4時には起きています。土曜日以外、毎日、臨床をやっている。7時ぐらいには家を出る。その前にコーヒーを飲んで、食事して帰ってきたらすぐ飲んで、夜にまた1杯、2杯飲んでいます。

学者の経歴をもち、30年以上、脳の研究をされていた車田さま
学者の経歴をもち、30年以上、脳の研究をされていた車田さま

「よし、俺、ベン・ケーシーになろう」と・・・。

外国にもよく行かれるのですか?

主にドイツとアメリカ合衆国、ハンガリーです。とりわけハンガリーの学者とは、30年以上共同研究をしていました。脳の研究をしていたんです。脳は嗅覚にも関係していまして。

今は、わたしどもの業界でも、香りを数値化できる機械が開発されています。

そういうことも含めて、脳には本能に関係する場所がある。目から入ってくる視覚情報の脳内における処理過程の解明が主な研究テーマでした。その関係から現在は、眼科と精神科に関わる診療をしています。

すごいですね。どのようなことがきっかけでそのようなことが可能になるのですか?

昔、『ベン・ケーシー』という映画があった。脳外科医が主人公のテレビ番組だったんです。あれがかっこよくてあこがれて。「よし、俺、ベン・ケーシーになろう」と思った。

“あこがれ”は偉大ですね。

やっぱり努力ですね。

わたしどものお客さまは、医者の方が多いのですが、一番大変な点は、どのようなことがありますか?

研究は、何もないところからつくらなきゃいけない。人マネでは駄目。まずアイデアを見つけて、それができるかできないか、仮説を立てて、どのくらいの費用がかかって、どのくらいの実験をして、どのくらいの期間でできて、論文を書いてという青写真をつくってから仕事をはじめなければいけない。それが大変といえば、大変でしたね。

思い通りにならないものですか?

7対3ぐらいかな。だいたい思い通りになったのが7。

7にするために、必要なことは何ですか?

ひとつは、やっぱり努力ですね。あと、外国の学会に行って、同じような仕事をしている人に、自分から積極的にコミュニケーションをとって、いろんなアイデアをもらったりすること。

コーヒーだけではなく、専門分野のお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。仕事の参考になることが多く、大変学びになりました。

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