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土居陽介の『お客さまに会いに行きました』

コーヒーをお客さまが楽しむ時間、そして共に過ごす毎日。
そこには、そのお客さまだけの「物語」があります。

今回は、樋口さまご家族からお話をお聞かせいただきました
今回は、樋口さまご家族からお話をお聞かせいただきました
第十四回
樋口 幸子さま(埼玉県)
(2022/06取材)

本日は、埼玉県にお住まいの樋口幸子さま、慶子さまにお話をお聞かせいただけることになりました。

美味しいのは、もちろんなんですけど・・・。

樋口さまはオートバイショップをご経営なさっております。今、僕の目の前にはハーレーダビッドソンのマシンが並んでいます。すべて名機といわれているもの。シーラカンスの大群を見た気分です。こちらのお店は、長くご経営されているのでしょうか?

息子で3代目です。2代目のうちの主人が25年前に亡くなった後。彼があとを継いでやってくれています。

樋口さまには、もう7年以上当社のコーヒーをご愛顧いただいております。最初のきっかけは、どういったことだったのでしょうか?

本当にコーヒーが好きだったのは、うちの主人と娘でした。美味しいのはもちろんですが、砂糖もミルクも不必要と感じた。まさか、こんなに長く楽しませていただくとは思わなかった。

慶子さまもお母さまとご一緒にお楽しみいただいているのでしょうか?

朝食に、わたしが必ずコーヒーを入れる。それから出勤します。看護師をしているのですが、昔に16年ぐらいこのお店で働いていました。人生を振り返って「これでいいのかな、自分」っていうふうに思ったときに、昔から望んでいた看護師の仕事に挑戦することにしたんです。

室内には、ハーレーダビッドソンの名機が整然と並べられていました
室内には、ハーレーダビッドソンの名機が整然と並べられていました

一目ぼれしたっていう感じ。

わたしは、お父さんの焙煎している顔が強く記憶に残っています。仕事をする人は、どんなことであろうと厳しい目を持っている。言葉に語弊がありますが、一目ぼれしたという感じ。

土居さんのコーヒーの味には落ち着きがあるというか。土居さんのコーヒーの独特な味わいがある。「これはちょっと苦手」というものに当たったことがない。

ほかのコーヒーはちょっとクセがあったりとかする。土居さんのコーヒーが断トツに美味しい。

とても、うれしいお言葉です。

人間の人生って、一人一人たくさんのドラマがあるじゃないですか。いろいろ苦労だとか。それを顔に出さないで、皆さん仕事をしたり、笑ったり、怒ったりしている。わたしたちも、いろいろなことがあった。

そうしたなかで、朝起きて、お湯を沸かす。美味しいコーヒーが飲める。大げさじゃなくて「土居さん、ありがとう」っていう気持ちになれる。すごくうれしい。

男性なら一度は憧れる、秘密基地のような空間でお話をお聞かせいただきました
男性なら一度は憧れる、秘密基地のような空間でお話をお聞かせいただきました

なにがあっても勉強と考えれば楽しい。そう思える。

3代つづけてオートバイのお店をなさっていて、いろいろご苦労があったのではないでしょうか。

わたし自身が店を手伝い始めたのは24の時。お金がなかったけどそれなりにって思っていました。なにがあっても勉強と考えれば楽しい。そう思える。のんきなんです。他人に甘く、自分にも甘い。

オートバイにおける技術の継承というのはどうなさっているんでしょうか?

兄がお店に勤めはじめた時は、もう大変でした。おたがい口を利かない。父と兄、双方同じ性格だったので。

自分の父親のことを思い出しました(笑)。

7年間だけ、父と兄は一緒に仕事をやっていました。でも、そばにいて、毎日息が詰まってました。

もうね、取っ組み合いのけんかをしたことが2回あるんですよ。それも、お客さまが止めて。

主人は「こうだよ、ああだよ」と口では一切教えなかった。ただ、自分の動きを、息子に見せていたんじゃないかなっていうふうに思います。

慶子さんは、お父さまについて、どのような印象をお持ちなのですか?

父が亡くなってから、最初はいやだったのに、自分自身が結局、ハーレーに乗るようになった。「ああ、お父さんはこういう風を受けてたんだ」、「エンジンのこの音を聞いてたのか」というのが自分でわかった時は、本当にうれしかった。

とても素敵なお話をお聞かせいただき、久しぶりに自分の父親のことを思い出しました。

いつもお父さまのお顔がちらちらしてますよ。コーヒーを飲む時は。

息子として、ちょっと嫉妬を感じます。

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