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土居珈琲ライブラリー > > 「小さな焙煎」こそが、わたしたちのこだわりです。

本音をいえば、当日出荷するコーヒーを一回の焙煎で終われたら、こんな楽なことはないと思います。

それに反して、 土居珈琲の工房では、一日何十回と焙煎を重ねています。大手のコーヒー会社なら、このわたしたちが何十回としていることを、 一回で終わらせているはずです。

しかし、わたしたちのこだわりは、まさにここにあります。

産地より生産されたコーヒーの生豆を、コーヒーとして楽しめるようにするためには、焙煎釜を使って焙煎しなければなりません。 このコーヒーの焙煎は今まで、効率的に大量生産することを重視して考えられていました。

コーヒーを焙煎するには、焙煎釜というものを使用します。この焙煎釜は機関車のような形をしています。
まず、焙煎釜の上部のホッパーと呼ばれる部分より、生豆を投入します。

ホッパーから投入された生豆は、焙煎釜の内部にあるドラムに流れていきます。このドラムは洗濯機の中にあるドラムと同じ、丸い筒のような形をしています。 そして、このドラムの下にはバーナーが装備されています。焙煎釜の内部のドラムが回転し、下部のバーナーから放たれる火によって、 コーヒーの生豆はドラムのなかで徐々に加熱されていきます。

緑がかった乳白色のコーヒーの生豆は、きつね色に染まりだし、徐々によく目にする深い茶色へと変わっていきます。 そして、投入から焙煎が完了するまでに、約20分の時間を要します。

効率だけを考えて焙煎にかかる時間を短縮させようとすれば、火力を強くすればいいということになります。 しかし、強い火力で焙煎すると豆の芯まで熱が行き届かず、表面だけが焼け焦げた状態になってしまいます。 コーヒー豆を焙煎するためには、どうしても20分ほどの時間を必要とするのです。

このような事情から焙煎の時間を極端に短くすることはできませんが、焙煎釜の容量を大きくすれば、一度に作り出すコーヒー豆の量を増やすことができます。 効率的に大量にコーヒー豆を作り出そうとするなら、大型の焙煎釜を使用すればよいということになります。

焙煎釜も大型のものになると、100kg以上の容量をもつものもあります。こうした大型の焙煎釜を使用すれば、20分の時間で、一度に100kgのコーヒー豆が出来上がるというわけです。

ただ、これだけ大型の焙煎釜になると、そのつど焙煎時間や火力を調整するというわけにはいきません。こうした焙煎釜は、コンピューター制御によって焙煎が行われているからです。コンピューターに一度プログラムすれば、自動的に設定した通りにコーヒー豆を焙煎し、仕上げていってくれるというわけです。ですから、焙煎中に人間がすることは、ほとんどありません。一度に大量のコーヒー豆が出来上がりますし、焙煎する人間の苦労も手間も少なくなります。

こうしたなか、土居珈琲が導入している焙煎釜は、すべてが小型のものです。
土居珈琲では、6台の焙煎釜を使用していますが、最大でも12kg容量の焙煎釜です。ただ、これからも、これ以上の容量をもつ焙煎釜を導入することはまったく考えていません。小型の焙煎釜を使用した、「小さな焙煎」こそが、土居珈琲のこだわりのひとつだからです。

小型の容量の焙煎釜を選ぶ理由は、目の前にある銘柄に合わせて、人間の手で火力や焙煎時間を微調整しながら焙煎することが、その銘柄の持ち味を生かすことだと考えているからです。コーヒー焙煎では、その銘柄がもつ、持ち味以上の味を作りだせるわけではありません。コーヒー焙煎とは、その銘柄がもつ、持ち味を最大限引き出すために存在します。

品質の高い銘柄は非常に繊細な面を持ちます。たとえ同じ農園の銘柄であっても、栽培されたエリアの違いで、その銘柄の品質には違いが生まれます。当然ながら収穫された年度によっても違いがあります。

そうした繊細な品質の銘柄の持ち味を生かすためには、その銘柄の変化に合わせて焙煎度合いや、焙煎時間をそのつど微調整をかけていかなければなりません。たとえば焙煎釜の火力も、いつも一定でいいというわけではなく、その豆を見ながら、釜のドラムの内部温度を「一度」の幅で調整していく必要があります。また、日本では夏と冬では30度近い気温の違いがあります。そうした気温の変化も、焙煎釜の内部の温度を変化させます。

コーヒー焙煎は一回一回がすべて勝負。わたしたちはそう考えています。ですから、焙煎する人間が豆の状態や外部の環境に合わせて、焙煎時間や釜の火力を調整していくのは当然のこと。

焙煎とは、焙煎する人間と目の前のコーヒー豆との”対話”であると言っても、過言ではありません。

小規模の焙煎釜を使った「小さな焙煎」は、20分の時間をかけても、最大でも20kgほどのコーヒー豆しか出来上がってきません。効率から考えればとても悪い。しかし、それでいいのです。わたしたちは大量のコーヒー豆を作ろうとは考えていないからです。

銘柄の変化に合わせた焙煎をすることで、その銘柄のもつ持ち味を最大限に引き出す。

この目的のために、わたしたちが行き着いた答えが、「小さな焙煎」なのです。