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美しい響きの「ハゼ音」  私たちは、毎日、より美味しいコーヒーを作り出すために悪戦苦闘しています。その結果、会員さまに「味」と「香り」をお届けしています。しかし、私が会員さまにお届けしたいものが、実はもうひとつあります。

 それは、焙煎時に豆が発せる「音」です。コーヒーの生豆は、はじめ緑がかった乳白色をしています。焙煎をはじめると、最初はきつね色に染まりだします。徐々に茶色が濃くなっていき、最後は黒に近い茶色になっていきます。

 焙煎士は、その銘柄の持ち味が、もっとも発揮できる焙煎度合いに仕上げていきます。この焙煎度合いを見極める判断材料のひとつに、「音」があります。コーヒー豆は焙煎が進む間、二回「音」を発します。それはどういう「音」かというと、「バチッ、バチッ」という音です。焚き火をしたときに木から聞こえてくる破裂音と似た音と言えばご想像いただけるでしょうか。

 コーヒー豆は焙煎が進むと、豆の芯部が膨らみます。ところが、豆の外皮は柔らかい内部を保護するために硬くなっています。芯部のふくらみに、硬い外皮が耐え切れずに破裂したとき、豆は「バチッ、バチッ」という「音」を発するのです。この「音」を私たちは、「ハゼ音」と呼んでいます。

 焙煎士にとってこの「ハゼ音」は、焙煎度合いを判断するうえでとても大切な情報です。ですから、焙煎士は常に焙煎釜に顔を近づけて、この「ハゼ音」に耳をかたむけています。この「ハゼ音」は、油断していると聞きのがしてしまうほど、小さな音。

 焙煎しながら、この「ハゼ音」に耳をかたむけながら私が思うことがあります。「この音を、会員の方にお聞きいただく方法はないものだろうか」ということです。「ハゼ音」は銘柄によって異なります。そして、この「ハゼ音」は、なんとも言えない美しい響きをもっているのです。

 それはまるで、その銘柄が奏でる歌のよう。品質の高い銘柄は、香りや味だけではなく、その「音」も魅力的なのです。