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「手入れが行き届いた焙煎釜でしか、美味しいコーヒーはつくれない」(土居博司 談)

わたしたちは、一日の終わりに必ず焙煎釜の“手入れ”をしています。

これが、先代、土居博司から受け継いだ“コーヒーづくり”の基本だからです。コーヒー豆がもつ味わいを引き出すために、焙煎技術が必要であることは言うまでもありません。しかし、それ以前に、もっと大切なことがあります。それが、焙煎釜の手入れを毎日しっかりと行うことなのです。

手入れをしていない“汚れた”焙煎釜を、先代はとても嫌っていました。「手入れが行き届いた焙煎釜でしか、美味しいコーヒーはつくれない」、というのが彼の考えだったからです。

釜の主な手入れとは、そうじです。「焙煎は、そうじにはじまり、そうじに終わる」。先代は、そう言いつづけていました。なぜなら、コーヒー豆には“チャフ”というものがあるからです。チャフとは、生豆の表面に張り付いている薄皮のこと。このチャフが、焙煎時の熱と衝撃で、コーヒー豆からはがれ落ちます。

このはがれ落ちたチャフは、焙煎後の釜のなかに多く残ります。それらを残したままにすると、問題がおこるのです。たとえば、部品のなかに入ったチャフが固まり、焙煎釜の動きをわるくします。また、時間が経過したチャフは、焙煎しているコーヒー豆に、余計な“におい”をつけてしまいます。

そして、もっともこわいのは、チャフに火がつくことです。こうしたことを防ぐには、焙煎後、釜のなかに残るチャフを取りのぞくしかありません。そのため、毎日の釜のそうじが大切になるということなのです。

釜のそうじに、高い技術は必要ありません。ただ、たいへんな手間がかかります。それでも、先代は、一日の終わりに、必ず一時間以上かけて焙煎釜のそうじをしていました。思い出すのは、わたしが先代から焙煎を学びはじめた一年目。

釜のそうじしか、させてもらえなかったことです。当時は、「はやく焙煎を教えろ」とイライラしたこともありましたが、今となっては、それが、本当によかったと思っています。「釜は毎日そうじするのが当たり前」、ということが、自分のからだにしみついているからです。

そして、今現在、先代の教えは、わたしだけでなく、ほかのスタッフにも受け継がれています。