男が日傘を使うなんて格好悪い。そう思っていました。
使ってみてわかりました。ムダなヤセがまんだったことにです。
南国でしか育たないコーヒーの樹も、強い陽射しを苦手としています。
太陽の光が葉を焦がし、コーヒーの実にダメージを与えるからです。
このことから、日除けの樹をまわりに植えるという手法が生まれました。
“日陰農法”と呼ばれています。
おもにカカオの樹が植えられます。コーヒーの樹より背が高いからです。
コーヒーの樹の日傘です。
日陰という快適な環境を用意された樹は、ゆっくりと時間をかけて
成長していきます。
この樹からは、より栄養分を含むコーヒーの実がみのります。
ただ、手間はかかります。
人の手によってたいせつに育てられる。わたしたちが求めるコーヒー豆は、
この条件が満たされたところからしか生まれません。
届いた生豆の袋を開けると、ときにカカオの実が混じっていることがあります。
この生豆がたいせつに育てられた証。
「この豆は、どんな香りと味を楽しませてくれるだろう」と、
期待に胸がふくらみます。