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「豆自身がとてもきれい」

「豆の粒の形やサイズが揃っている。豆自身がとてもきれい」。

当社をご愛顧いただいているお客さまから、こう言っていただくことがよくあります。
これは、インターネットを通してお客さまとご縁をいただく活動を始めた当初、この言葉をお聞きできることは、わたしにとって意外でした。

正直申し上げて、当初、お客さまはコーヒー豆に関して、そこまでお気づきにならないだろうと思っていたからです。

お客さまからそう言っていただけるほど、お届けするコーヒー豆が美しいのには理由があります。焙煎した豆を専用のザルに入れて、人間の目で選別し、不良豆(欠け豆、サイズが他より小さな豆、焼きムラがある豆など)があれば、それを取り除いているからです。

そうです。すべて、人間の手作業でやっているのです。

わたしたちが買い付けている銘柄は、そもそも世界中で生産されるコーヒーの中でも、トップクラスの品質のものばかりです。これは、言葉だけで言っているのではありません。実際、いわゆる量販用の生豆とは、買い付けで倍以上の価格がついています。

こうした価格差がついているのは、現地で不良豆を取り除いていることもあります。そもそも、不良豆といっても、それを使用して飲めないというものではありません。量販用の不良豆とは、カビ豆や黒豆、未成熟豆などを指していますが、品質の高い銘柄に、そうした不良豆は、そもそも取り除かれています。

わたしたちが自分たちの基準として設定している不良豆とは、形状が欠けていたり、他と比べて豆のサイズが合っていなかったりといったものです。ですから、わたしたちが取り除いている豆は、飲めないというレベルのものではありません。

ですが、それを取り除くことで、その銘柄の味わいは、より研ぎ澄まされたものとなります。当然そうした不良豆を取り除くことをすれば時間と手間とコストは、確実にかかります。

わたしたちが考える不良豆は、見た目の差がそれほどありませんから、その選別は機械では不可能だからです。人間の目でなければ、判別できません。

不良豆を選別する、初代焙煎士 土居博司

コーヒー製造会社として、開業当初、不良豆の選別をするかしないかという判断を迫られたとき、創業者の土居博司は迷うことなく、することを決断しています。これは創業してから40年以上続けていることです。ですから、当社に新人スタッフが入社すれば、まず最初に覚える仕事は、こうした豆の選別作業です。

父の先輩の同業者の方が昔、当社を訪れたとき、「おまえのところ、よくこんな面倒なことをやっているな」と言われたことがありました。わたしも当時、まだ幼かったので、自分もそう思っていたこともあり、よく覚えています。

父はそのとき、不思議な顔をしていました。

時は流れ、父と一緒に仕事をするようになり、土居珈琲に取材がはいったことがありました。30分間、当社のことを特集した番組であったので、その取材時間は非常に長いものになりました。

(「なぜ、職人のおれがテレビに出て、長々話しなきゃならんのだ」と当初嫌がっていたので、取材中にトンズラするのではないかと、横にいてヒヤヒヤしました)

当社の珈琲工房を取材される方がことさら驚いたのは、土居博司をはじめとする全スタッフが、手作業で豆を選別している光景でした。

「こんなに手間のかかることを、毎日しているんですか?!」
取材の方がそう聞いたとき、父はこう答えていました。
「どうして?これをやっているのは楽しいですよ。わたし、この作業が大好きなんです」。

そのとき、先輩の同業者の方に、「こんなめんどうなこと、よくやっているな」と言われたとき、父が不思議な顔をしていた理由が、やっとわかりました。

わたしたちの仕事では、豆の選別作業は、味をよくするために仕方がないからやっている“義務”にとらえがちです。

しかし、父は、“義務”からそれをしているのではなかったのです。彼は、豆の選別作業をしていること自体が“好き”であり、それをしていることが楽しくて仕方がなかったのです。

人から見たら、どれだけ地味で大変な作業にうつっていたとしても、やっている人間が“好き”でやっていたら、それをすることは当人にとって楽しくてしかたない。ですから、父は、創業当初、豆の選別をやるかやらないかということに対して、悩むことなく“やる”と決断したのでしょう。

こうした土居博司の考えは、当社の珈琲工房の基盤となって生き続けています。

コーヒー豆を一粒一粒人間の手作業で選別していきます。これをすることで、銘柄別の豆の形や焙煎度合いの色を覚えていくことができます

今日もわたしたちは、お客さまにお送りするコーヒー豆の選別を、スタッフ全員で楽しみながらやっています。