香りは、コーヒーの最大の魅力です。
どうやって、自分たちだけにしかない香りを創造するか。
つくり手は、この点で苦心することになります。
さまざまな研究が進められるなか、
ワインの香りを感じさせる銘柄をつくりだすことに成功した農園があります。
メキシコの「ラ・グロリア デ・ガンテ農園」です。
彼らが挑んだのは、「嫌気性発酵」という手法。
もともとは、ワイン製造で用いられている技術です。
密閉されたタンクの中に、コーヒーの実を投入。
酸素のない状態をつくりだし、この中で実を発酵させます。
コーヒー生産において新しい手法ですが、実践するには大きな問題がありました。
たいへん手間がかかることです。
人が四六時中、タンク内の豆の状態を管理し、
ケアしつづけなければ、品質が大きく劣化してしまう。
生産時の人にかかるストレスは想像以上。
「できるわけがない」と考えるのが“当たり前”です。
日本から11,000km離れたメキシコの小さな農園が抱いた挑戦心が、
この“当たり前”をくつがえしました。
特徴的な香りは、一般受けするものではありません。
実験的につくられたものゆえ、生産数もごく少数です。
変わったものがスキという方には、イチオシの銘柄です。