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「光の教会 安藤忠雄の現場」/平松 剛 著




今回、お客さまにぜひ、ご紹介したい本があります。
「光の教会 安藤忠雄の現場」(平松 剛 著)です。

こちらは、“コーヒーをつくる”ことにおいて、
わたしが大きく感銘を受けた一冊です。

本作では、安藤忠雄氏が設計をつとめた「光の教会」が
完成するまでの過程を描いています。

「光の教会」において問題になったのは、予算がないことでした。
こうしたなか、設計の依頼を受けた安藤氏は、
まず、コンクリート打ちっぱなしのデザインを提案します。

そこから、安藤氏は、教会のなかに冷暖房設備を置かないことを決断します。
教会を訪れる信者は、寒さ暑さを耐えればいいと施主を言い込めるのです。

さらに、雨が降るときは、傘をさせばいいと言って、
教会の屋根を設置しないことも提案しました。

安藤氏のこだわりは、教会を訪れる信者に、「不便」を与えるものであり、
当時の施主である神父は、彼の提案にたいして、はじめは納得しません。

しかし、安藤氏は、設計した建物のなかに存在する「不便」を肯定しています。
建物は、そうした「不便」を乗り越える人間の力によって、
本物の魅力をもつというのです。

本作を読みながらあらためて、思ったことがあります。
わたしたちがお送りしているコーヒーも、
お客さまに「不便」を強いるものであるということです。

この「不便」をなくすため、近年、“ドリップバッグ”が開発されました。
“ドリップバッグ”とは、一杯分をたてるのに必要なコーヒーの粉が、あらかじめ小さなフィルターに詰められたものです。
たしかに、この“ドリップバッグ”をつかえば、手間なくコーヒーがたてられます。

しかし、わたしはこの“ドリップバッグ”をつくることに興味がもてません。
利便性を優先することで、焙煎の鮮度が犠牲になるからです。

わたしたちが“ドリップバッグ”のコーヒーをつくることは、
自分たちが大切にしていることを否定することになる。

「不便」があるからこそ、お客さまに工夫をこらしてコーヒーをたてていただける。
そして、そのことは、コーヒーをつくるわたしたちと、コーヒーを楽しまれる
お客さまとの会話であるとも思いました。

「光の教会 安藤忠雄の現場」。
この一冊を読んで、わたしどもは
これからも「不便」なコーヒーをつくりつづけていこうと決意した次第です。