単一農園がつくった銘柄を仕入れるということは、
一昔前では考えられないことでした。
現地で生産されたコーヒーは、一箇所にまとめられ、
混ぜ合わせて出荷するのが常でした。
これは、毎年安定した量を確保するためには有効な方法です。
しかし時代は進み、ひとつの農園が独自の銘柄をつくり、
輸出するようになりました。生産者が特定された銘柄は、
「その土地ならではの個性」と「造り手の個性」が表れます。
“スペシャリティコーヒー”という運動は、
優れた農園の銘柄が牽引してきたことはまちがいありません。
ただ問題は、大規模で運営している農園に注目が集まりやすいことです。
ワインは、単一農園の銘柄だけではなく、
“ブレンドワイン”も同じく評価されています。
複数のぶどうがブレンドされることで、品種の個性が混ざり合い、
奥行きのある複雑な味わいに仕上がるからです。
コーヒーでも現在、複数の農家のコーヒーを
ブレンドしてつくった銘柄の評価が、見直されています。
目的が、かつてのような“大量生産”を求めてではないからです。
強い個性をもつ香りと味わいの創造を目指して生み出された、
近年の「ブレンド銘柄」。
なかには、単一農園のコーヒーにまさるとも劣らない実力を秘めたものも、
少なからず見受けられるようになっています。
単一農園とブレンド。
つくられる背景や考え方は異なりますが、目指しているものは同じです。
それは、自分たちの力で、どこよりも高い評価を受ける銘柄を生み出すことです。
どちらに軍配を上げるかをお客さまにご評価いただきたいと考え、
今月の『手と手』では、ふたつのカテゴリーの銘柄をご用意しました。
実力があり、高い評価を受ける銘柄は、生産量が少ないことに加え、
各国でとりあいの状況になるため、入手が困難になることは共通しています。
なかなか口にできない味わいと香りをもつ銘柄です。
ご参加いただいているお客さまにおかれましては、
お届けまで期待をもってお待ちください。